コラム・体験談

発達障害[ASD]の私が歯医者を苦手とする理由【2】

前編に引き続き、発達障害の自閉症スペクトラム(ASD)の特性ゆえに歯医者が苦手な理由をお話しします。

今回は感覚過敏があることによって、

  • 歯科受診を苦手と感じる理由
  • 歯科医院にしてほしい配慮
  • 歯科治療を受けるための自分なりの工夫

についてお伝えしたいと思います。

発達障害[ASD]の感覚過敏で歯医者は苦手に

私は感覚過敏(視覚過敏や聴覚過敏)があるので「待合室内で聞こえる様々な音」「検診中や治療中の口腔内で鳴る音」「照明や壁、金属器具の反射などがまぶしすぎる光」など、診療室内で苦痛を感じる要因がたくさんありました。

待合室がざわざわしていてつらい【聴覚過敏】

自分の順番が来るまでの間、ざわざわしている待合室内で待機しているのが苦痛でした。私のかかりつけは小さな歯科医院だったため、待合室内の会話、治療の音、駐車場や道路から聞こえる音などが絶えず聞こえていて、長い時間じっと待合室にいることができませんでした。

音がなり続けるのが気持ちわるい【聴覚過敏】

普段聞かないような音がずっと口の中でなり続けていることが、とても不快でした。先生も声をかけながら診察してくれるのですが、治療の音でかき消され、先生が何を言っているのかも分からないといった悪循環でした。

いろいろまぶしすぎて目の奥が痛い【視覚過敏】

診察中、歯科医院では上を向くことが多いと思います。視覚過敏がある私にとっては地獄の時間でした。蛍光灯の光がとてもまぶしく、目の奥が痛くて仕方なかったからです。また、蛍光灯のほかにも、白い壁や診察・治療に使う金属器具の反射した光などもまぶしく、つらい思いをしました。

歯医者の先生に配慮してもらえて助かったこと

歯科医師の先生が「音の続く時間をカウントダウンしてくれた」ことや「サングラスを貸してくれた」ことがあり、感覚過敏である私にとって、とても助かることでした。

【助けられたこと1】カウントダウンしてくれた

器具のカチャカチャした音や機械の音がつらく、暴れたりしていましたが、いつからか『あと10秒我慢してね~10・9・8…』と器具を使うたびに大きな声で、カウントダウンをしてくれるようになりました。おかげでどれだけ待てばいいのか分かり、我慢することができました。これは、配慮というより歯科治療に携わる方の子どもに対するテクニックなのかもしれません。ですが、麻酔の注射などの痛い時以外にも、毎回カウントダウンをしてくれて本当に助かりました。

【助けられたこと2】サングラスを貸してくれた

まぶしすぎてずっと上を向くことを拒否していたら、先生が自前のサングラスを貸してくれました。サングラスをかけたことで、照明の方向を見ていても楽になり、落ち着いて診察や治療を受けることができました。

感覚過敏に対して自分自身でやっていた工夫

感覚過敏に対して「1番早い時間で予約して、待合室にいる時間を極力減らす」「待合室にいる間は他の刺激を極力避ける」「カラーレンズを使用して照明などのまぶしさを少し解消する」などの工夫をしていました。

【工夫1】予約は1番早い時間に入れる

感覚過敏が原因で、私は、待合室がとにかく苦手です。いつも午後の1番早い時間に予約を入れています。1番早い時間なので待ち時間が少なくて済み、診察前に疲れることが少なくなりました。

【工夫2】待合室ではイヤホン+端っこの席

待合室内では、なるべく1番端の席に座り、イヤホンで耳を塞ぎます。なるべく周りの音をシャットアウトするようにしています。

【工夫3】カラーレンズの入った眼鏡を装着

視力が低いのでメガネは手放せなくなっているのですが、歯科受診の際には普通の眼鏡の他に、カラーレンズの度付きの眼鏡を持参するようにしています。私が愛用しているのは、灰色のレンズのもの。多少まぶしさは残りますが、全体的に暗くなるので助かっています。

【工夫4】刺激を和らげるアイテムを持っていく

「視覚過敏……カラーレンズの眼鏡、遮光眼鏡、サングラス」「聴覚過敏……イヤホン、イヤマフ、ノイズキャンセリング」というようなアイテムで、感覚過敏は少し緩和されるのではないかなと思います。診察室の中でも使いたい場合、予約や受付時に事情を話しておくとスムーズかもしれません。

【工夫5】刺激のある場所からできるだけ遠ざかる

これは実際に同じ障害を持つ妹がお願いしている対応です。待合室で待つことが難しいので、受付後は歯科医院の駐車場に停めてある車の中で待機しています。診察の順番が来たらそのまま診察室に入らせてもらうので、待合室にいる時間はほとんどありません。必ず医院に許可を得る必要はありますが、どうしても人の多いところや雑音が多いところが苦手な方は相談してみるのもアリだと思います。

後編まとめ

「アイテムを使って刺激を和らげること」「刺激の多い場所から離れること」は実践しやすく、歯科医院の先生にも協力してもらいやすいのではないかと思い、今回、苦手な理由とともにお伝えいたしました。

個人差が大きい発達障害。私と同じ工夫をすればすべての方が大丈夫とは言うことではありませんが、自閉症スペクトラム(ASD)の感覚過敏で悩んでいる方の参考に少しでもなれば、とても嬉しく思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

前編を読む >>

歯科治療に恐怖や不安を抱えていて、歯科治療を通法では受け入れることができない方に、行動理論を応用して治療ができるようにする技法があり、行動変容法(行動療法)といいます。

『あと10秒我慢してね~10・9・8…』とカウントダウンする方法もその一つで、カウント法と呼ばれています。また、これから使う器具の説明をしながら(Tell)、実際に使っているところを見せてから(Show)、患者に対して行う(Do)、Tell Show Do法(TSD法)といった技法もあります。

障害者歯科や小児歯科を専門にしている歯科医院の多くは、これらの技法を上手に取り入れて、歯科治療を受容してもらえるようにトレーニングをしながら治療を進めていきます。

そうはいっても、「とにかく痛い」とか「今、ある程度の治療をしなくてはいけない」といった状況はどうしてもあります。そのような場合は、亜酸化窒素を用いた吸入鎮静法や、静脈内鎮静法、全身麻酔を応用し治療をすることがあります。

本編にある「刺激を和らげること」や「刺激の多い場所から離れること」も、とても有効です。具体的に何が刺激になっているか把握できている場合は、歯科医師や歯科衛生士に相談してみると良いでしょう。

[監修歯科医師:黒田 英孝]

ABOUT ME
ライターネーム「ワダカモコ」
ライターネーム「ワダカモコ」
発達障害(ASD)当事者の大学生ライター。1997年生まれ。幼いころから家族共々、障害特性や感覚過敏に悩んできました。情報を発信して、少しでも同じ障害を持つ方の役に立てたらいいなと思い日々模索中。