障害者歯科ネットとは

障害者歯科ネットは、障害児(者)の方々の歯とお口の健康を守るために歯科医師たちが中心となり、障害者歯科に関する専門的な情報発信を行っているサイトです。

歯科医療に特別な配慮(スペシャルニーズ)を必要とする障害者の方々が抱えている「歯とお口に関する悩み/不安」を解決するために、歯科関係者による執筆と監修を通して様々な情報コンテンツを発信しています。

当サイトでは「障害の種類や程度に応じた対応方法」「診察・治療内容に合わせた歯科医療機関の選び方」「虫歯(むし歯)、歯周病の予防」「毎日の歯磨きに役立つ工夫」などの障害者歯科に関する幅広いテーマが対象となります。

障害者歯科ネットの設立背景

当サイトは、障害当事者、ご家族、支援者からの声をきっかけとして、2018年夏よりサイト制作・運営活動が開始されました。

障害当事者の声(一部抜粋)

“健常者とちがい、歯磨きをスムーズに行うことができなかったり、うがいをできなかったりすることも多いです。そのために虫歯や歯周病にもかかりやすくなってしまいます。しかし、歯医者に行こうにも障害者の受診が可能な場所も限られており、なかなか行くことができません。”

“パニック障害を患っているので、歯の治療中に発作が起きたらどうしようといつも考えてしまい、余計にパニックを起こしやすいという悪循環に陥っています。虫歯ができても、発作のことを考えるとなかなか歯医者に行けず困っています。”

“私は脳性麻痺で自走の車椅子で生活しています。支えがあれば多少自分の足で動ける程度です。現在通っている歯医者さんは院外からスロープがあり、中に入るのは大変スムーズです。しかし、虫歯がないかどうかの検査がとても簡単に済まされてしまっていて不安があります。健常者と同じように、もう少しきちんと向き合ってほしいと思います。”

ご家族の声(一部抜粋)

“身内がお世話になっているのですが、何より先生やスタッフさんがどんな対応をするのかがとても気になります。嫌味を言われたりすることもありますし、ちゃんと良い対応をしてくれることを徹底しているとホームページなどに記載してくれれば安心して利用できます。 また、自分自身も歯科恐怖症なので障害者歯科に対応しているところだと安心するのですが、歯科のホームページには使い回しの文章も多いですよね。そのため、逆に不安になってしまうこともあります。先生のお顔が見れて、なおかつ怒らないと書いてあるホームページだと安心します。”

“自閉症の息子はいわゆる病院嫌いで、内科でも採血や、痛そうなことを拒絶してしまいます。歯科に連れていって検診してもらってますが、幸い大きな虫歯はいまのところありません。しかしバキュームやキラキラした器具が苦手で、ごまかしながら診察してもらっています。歯を削ったり、注射で麻酔をしなくてはならなくなったりしたら、歯医者嫌いになりそうで不安です。”

支援者の声(一部抜粋)

“私は入所施設にて支援を行っています。毎日朝、昼、夕と歯磨きの介助をすることが多いのですが、介助をしていても不十分・不衛生になりがちです。長時間口を開けていられない方や、歯ブラシを噛んでしまう方など、通常ではなかなか考えられない悩みがあります。口腔ケアの重要性を理解していただきたいが、上手くお伝えすることができないという現状があります。”

障害者歯科ネットの運営目的

当サイトの運営を通して、障害者歯科がより一層普及・発展し、正しい知識・認識をもとに障害児(者)の方々に適切な歯科医療がなされ、ご本人やご家族による毎日のホームケアがより良いかたちで実現されることを願っています。

私たちはすべての人に良質な歯科医療を提供すること、患者中心の歯科医療に取り組むこと、未来に向けて新しい歯科のつながりを構築することを目指していきます。

2018年9月1日
障害者歯科ネット運営事務局