コラム・体験談

発達障害[ASD]の私が歯医者を苦手とする理由【1】

発達障害の自閉症スペクトラム(ASD)の当事者であれば「どうすれば落ち着いて歯科診療を受診できるのか」ご家族の方であれば「歯医者の何が怖いのか分からないため、どうやってサポートすればよいのか」

自閉症スペクトラムを持つ方々の中には歯科受診に関して、このような悩みや苦手意識を抱えていらっしゃる人も多いのではないでしょうか。実際にASD当事者である私も歯医者での待ち時間や受診中はとても苦痛でした。

その理由として、主に「先の見えない不安感」「感覚過敏」によるものがあります。まず前編では「先の見えない不安感」について以下のようなことをお伝えしたいと思います。

  • 歯科受診を苦手と感じる理由
  • 歯科医院にしてほしい配慮
  • 歯科治療を受けるための自分なりの工夫

これまでの試行錯誤の結果、今では私も落ち着いて歯科診療を受けることができるようになりました。障害当事者側から出来る対策も紹介していますのでご一読いただけたら嬉しいです。

なぜ発達障害[ASD]は歯医者が苦手なのか

私が歯医者を苦手とする理由の1つに「口腔内の状態が悪いと検診の後に、そのまま治療が始まってしまう」というものがあります。

診察室に案内された後、担当医の方がきて口腔内のチェックが始まり、問題があるとそのまま治療という流れが多かったのですが、「いつまでこの状態が続くのか、あと何分で治療は終わるのか」「今はいったい何をされているのか」ということが全く分からない状態なのがとてもつらかったです。

歯科治療前にやることを教えてもらう方法

私は予定が見えないと不安で仕方なく、歯科の検診や治療のたびに、先生に向かって大号泣で「次は何するの~!?」と聞き続けていました。

その結果、治療前に「手順をポスターのようなイラストの多い紙で」「どこの歯を触るかを歯の模型で」教えていただけるようになりました。

また検診中や治療中にも、どの行程まで進んだのか、あと何秒で終わるのかを逐一教えてくれたことから「あと何個で終わる…』「あと何秒で終わる…』と落ち着くことができました。

検診の日と治療の日を別にしてもらう方法

多くの場合、検診の日に「これとこれを今日やるよー!」といきなり言われると思いますが、その場で予定が変わったり、いつまでかかるか分からなかったりすることが、私は不安で仕方ありませんでした。

そこで最近では、検診の日は検診対応のみにしてもらい、治療対応には後日再度予約していくようにしてもらっています。

私は「すぐ終わるから~」と言われても、突然決まったことにすぐ順応するのは難しく、この後に何が始まるかをきちんと理解できていない状態が怖いため、基本的に「心の準備が出来てないのでまた別の日にお願いします」と言って、その日の治療を断わらせていただいています。

また、予約の際に、次の診察・治療がどのような工程になるかも教えてもらっているので、その日に何をするのかが明確であり、安心して後日の治療に行くことができています。

予約時に治療の流れと時間を聞いておく方法

その他、患者側から出来る対策を考えてみましたのでご紹介したいと思います。検診や治療の流れは患者側のみで判断するのが難しいので、基本的には歯科医師や歯科衛生士に聞くことが一番だと思っています。

私の場合、私自身の障害について歯科医院側に簡単に話してあるため、

  1. 治療の流れ
  2. 各工程にかかるおおよその時間

を予約時に必ず簡単に確認させてもらっています。

また、当事者の方がお子さんなどの場合、保護者の方が病院側から説明を受けた後、
おうちの落ち着いた空間で、イラストや絵カードを使いながら解説をしてあげると、
分かりやすいのではないかなと思います。

その際も、時間などはなるべく具体的な数字などを用いて説明してあげたほうが、分かりやすく、安心できる方が多いと思います。

前編まとめ

どうしても患者側だけでは具体的な流れや時間については分からないものですので、かかりつけの歯科医院で担当歯科医師の方に「検診や治療の流れ」をまず確認してみるのはいかがでしょうか。

同じ診断名でも、特性や困り感にはかなり差があるのが発達障害です。自閉症スペクトラムについても、必ずしも私と同じ対策ですべての方が大丈夫とは言うことはできませんが、私と似た障害特性で悩んでいる方の参考に少しでもなれば、とても嬉しく思います。

最後までお読みいただき誠にありがとうございました。前編の「先の見えない不安感」に続きまして、後編では「感覚過敏」についてお伝えしていきます。

後編を読む >>

自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder/ASD)は広汎性発達障害全般を指します。

ASDの中には知的障害を伴わない方がいて、そのような方をアスペルガー障害や高機能自閉症という呼び方をします。言語の発達や理解力には何ら問題はなく、社会性の発達や会話によるコミュニケーションが難しい方々が該当します。適切な支援と理解によって、一般的な社会生活が可能な方が多くいます。

ASDの特徴として、言葉などの聴覚情報による理解やコミュニケーションよりも、視覚情報が優位であることが知られています。そのため、絵カードや写真カードによる視覚支援が有効とされています。絵カードや写真カードを使い、ASDの方を取り巻く環境や情報を整理し(構造化)、生活や治療のスケジュールを視覚的に提示して見通しを立てることで、意味を理解することをサポートし、安心させることができます。

日常生活に用いるこのような視覚支援ツールは、インターネットサイト等で無料で得ることもできます。治療手順の説明や歯みがきの方法などに、このような視覚支援ツールを導入している歯科医院も多くあります。予約の際に、事前に歯科医院に確認するのも1つですね。

[監修歯科医師:黒田 英孝]

ABOUT ME
ライターネーム「ワダカモコ」
ライターネーム「ワダカモコ」
発達障害(ASD)当事者の大学生ライター。1997年生まれ。幼いころから家族共々、障害特性や感覚過敏に悩んできました。情報を発信して、少しでも同じ障害を持つ方の役に立てたらいいなと思い日々模索中。