コラム・体験談

軽度自閉症の私が歯医者を辛いと感じた理由とその対処法

発達障害をお持ちの当事者の中には、「歯医者や病院が苦手」な人が多いかと思います。また、「歯医者が苦手な人にはどう対処したらいいの?」とお悩みのご家族もいらっしゃるでしょう。

私は軽度の自閉症で、小さい頃はそのことを自覚せずに生きていました。そのため、一般的な歯医者で虫歯の治療などを受けていました。

症状が軽度で感覚過敏がそれほどないため、そう言った感覚が鋭い方と比べると、楽に治療を受けられた方だと思います。それでも、辛いと思うことは少なくありませんでした。

自閉症に限らず、発達障害はその症状が千差万別のため、何が辛くて何が平気なのかには、かなり個人差があるものです。

参考になるかどうかわかりませんが、一つの事例として、私が歯医者に通っているときに辛いと感じた理由(出来事)とその対処法を紹介します。

いつまで歯医者に通えばいいのかわからないのが辛い

小学生の私にとって、いつまで歯医者に通えばいいのかわからないことは苦痛でした。次に何をするか教えてくれず、どうしたらいいかわからないまま、ずっと通い続けるのはとても辛く感じました。

実際には、5回程度の治療で、それほど長くはありませんでした。それでも、いつまでも続くような辛さがあったのは、「ゴールがわからなかったから」でしょう。

こうしたときの対策としては、その日の治療の流れや今後の治療スケジュールについて、自分からお医者さんに質問するのが近道です。もしご家族の方が同席していたら、一緒にあらかじめ確認しておくと良いでしょう。

「今日はこんな治療をして、30分くらいかかるよ!」「あと3回で治療は全部終わるよ」などと声かけしてもらえると、辛い気持ちがずっと軽くなるはずです。

治療中に予想していないことが起きてしまうのが辛い

小学生のときの私にとって、治療中に予想していないことが起きることは、恐怖そのものでした。

  • 突然、機械の回転音が鳴り始めた
  • 歯に当たったときの音と衝撃があった
  • 突然、予期していない痛みがあった

怖さの要因はいろいろあります。

  • 単純に「何をされているのかわからない」のが怖い
  • 舌や口内に触れて「何かが起こるかもしれない」ことが怖い
  • その工程が「いつ終わるのかわからない」ことが怖い

自分の口で何が起こっているのかは、自分では見えないのでわかりません。そのことも、治療中の怖さを増強させていたかもしれません。

これは、事前にどんなことをするのか説明してもらうことで、解決することがほとんどです。例えば、歯を回転する器械で削ることを説明してもらっていれば、回転音がするのを予測できます。

ちょっとしたことですが、あらかじめ説明があるだけで、恐怖心が全然違ってきます。
見えていなくても、何をされているかある程度推測することができれば、安心して治療を受けられます。

口を30秒以上開かなければいけないような長い作業には、そのことを事前に伝えてほしいと言っておけば、いつ終わるかわからない恐怖も、かなり緩和できると思います。

痛みがあるときに我慢することしかできないのが辛い

小学生の私にとって、痛みがあったときにただ耐えるしかないのは、辛い出来事でした。心の準備ができていないことも理由ですが、仮にできていたとしても、ただ我慢するしかないことが辛かったです。

「もし痛みに耐えられなくなったら手を挙げてください」大人になってから、親知らずの治療をするときに、こんな風に声をかけていただきました。こうしたお声がけがあると安心できるものです。

歯科治療中は、たとえ辛いと思っても、その意思表示ができなくなってしまうことが多いですよね。中には、人から何か言われることが多いから、できるだけ相手を邪魔したくない、という思いを抱いてしまうこともあります。

そんなときに、意思表示できる手段があるだけで、かなりの安心感があるものです。

まとめ

今回は、歯科治療中に私自身が感じた、辛い出来事をまとめました。小さい頃のことなので、どうその辛さを伝えたらよいかわからず、対処の方法もわかりませんでした。

当時からあらかじめ対処法や対策を知って、事前にそのことを伝えることができれば、辛さは大幅に軽減しただろうと思います。

先が見えない不安感は、多くの自閉症の人にとって、耐え難いものです。ぜひ本記事をご参考に、歯医者の治療を受けるときには伝えてみてくださいね。

本来はすべての患者様に対して上記にあるような対応がなされるべきだと思いますが、なかなかそうではないのが実情です。当サイトを通して、より多くの患者様により良い歯科医療が提供できるよう情報発信していけたらと思います。 [監修歯科医師:黒田 英孝]

ABOUT ME
ライターネーム「Jo」
ライターネーム「Jo」
軽度自閉症当事者のライター。1987年生まれ。自分と周囲のギャップについて考えながら、日々の経験を生かしてライティングに取り組んでいます。