5歳になる息子は知的障害があり、現在ほぼ2歳児のような言語理解力です。生活面での発達も2歳児くらいで、まだおむつが外れておらずトイレトレーニング中で、発語は2歳児よりも少なく「パパ、ママ」などの数語のみです。
小さい頃は押さえつけていれば何とか出来ていた歯磨きも、4歳くらいになると力いっぱい抵抗してきますし、“イヤイヤ”の象徴として「キャー!」と奇声を上げるようになり手に負えなくなってきてしまいました。
知的障害をもつ我が子を歯磨き嫌いにしてしまった反省
思えば、歯磨きの際に押さえつけて無理やりしていたことが息子にとって『歯磨き=嫌なもの』という図式を作ってしまっていたのだと思います。
ですが、3歳児検診の際に行った小児歯科での息子の嫌がりようと歯医者さんへの申し訳なさから、虫歯だけは何としても避けなければ!という強い思いを持ち、そのような行動をとってしまっていました。
これで虫歯など作ろうものなら拘束してでも泣き叫ぶ息子を治療してもらわなくてはなりません。
他にも、予防法として口の中に糖分が長くあることを防ぐために、飴はもちろんチョコレートもその存在を明かさず、買うおやつと言えば『たまごボーロ』のみ。
たまごボーロはあまり噛まなくても唾液で溶けやすく、歯の溝にたまるというようなことが少ないからです。
しっかりお茶を飲ませて、最後にお口の中を見せてもらい、歯の間などにたまごボーロが残っていないか欠かさずチェックしていました。
しかし、保育所や発達支援施設に通わせていると、どうしてもたまごボーロ以外のおやつを知っていくことになってしまい、次第にクッキーやラムネなどを食べるようになってきてしまいました。
歯磨きをしてもらうために試みたこと
歯磨きが必須なのはわかっていますが、色んなおやつを食べるようになってしまったら、歯磨きがさらに重要になってきます。最初に使ったのは、キャラクターのご褒美シールです。歯磨きの後に一枚渡すという決まりにしていました。
ですが、もともとおもちゃとしてシールをよく与えていたので、ご褒美という概念を分かってもらえず、一枚しかくれないのか!といったように腹を立ててしまい、最後は5枚渡す…となり経済的に継続できなくなりました。
次に取り入れたご褒美は、歯磨き後に食べられるキシリトールの子供向けタブレットです。
キシリトールタブレットはシュガーレスで、それ自体は虫歯の原因にはなりません。色んなフルーツの味があり、ちょうどラムネに目覚めたところだったので、これは歯磨き後のご褒美としては大いに気にいってくれました。
しかし、これも数回おとなしく歯磨きさせてくれただけで、しばらくすると応じてくれなくなりました。その後はキシリトールタブレットも併用しながら、脅したりなだめたり懇願したり、最終的には主人と押さえつけて力くらべ…。
このままではいつか虫歯ができてしまうと恐れながら、ほぼ無理やり、おざなりな歯磨きを続けていました。
困ったときはやはり専門家に相談!
そんな時、転機が訪れます。転居に伴い、今までお世話になった保育所と支援施設から、別の地域の支援施設一本に通うことになりました。
現在も通っているこの施設はスタッフさんが厳しく、甘やかすことが多かった以前の支援施設とはだいぶ様子が違いました。
そのせいか、未だに通うのを嫌がることがあるものの、効果はテキメン。トイレトレーニングも本格的になり、甘えるだけだった着替えも自分でするようになってきました。
歯磨きもどうにかならないものかと、支援施設の代表の方に相談してみました。すると、普段の生活から、息子に合った方法をいくつか提案していただけました。
- 少し自閉傾向があるように見えるので、歯磨き含め生活の行動に固有の音を鳴らして合図を知らせるのはどうか
- 自閉傾向のある子や発達障害の子は、いきなり「歯磨きしよう」といっても行動の切り替えが苦手なので拒絶しがち。「これをあと一回したら歯磨きしようか」など段階を踏んで誘う
- 何事も出来たらものすごくオーバーに褒める
といった内容でした。
この中で息子に効果があったのは、段階を踏んで誘う方法です。
段階を踏んでみたら驚くほど素直に歯磨きするように
「電車がもう一周したら歯磨きしようね」、それでも嫌なら「じゃあ、もうちょっと遊んでからしようね」、そして「もう一周したら…」と繰り返すと、驚くほど素直に歯磨きに応じてくれるようになりました。
予告をすることで一度頭の中に次にすることへのイメージがわいて、いきなりやろうと言われるよりも、受け入れやすくなるのかもしれません。
音を鳴らす方法も試しましたが、音を鳴らすために私や主人がスマートフォンを手に取るとそれを触りたくて奪いに来るので断念しました。
専用のおもちゃや機械があればよかったのかもしれませんが、ちょうど段階を踏んで誘う方法がうまくいったので、お金をかけてまで…となりました。
何度も誘いを繰り返す日もありますし、応じたくせに逃げ回ることもあるのですが、以前に比べると一回の歯磨き時間も長くなり、落ち着いて口を開けてくれることが多くなり、障害のある子だからこその向き合い方があるということを学べました。
今後も試行錯誤の連続なのでしょうが、歯科治療で怖い思いをしないでいいように、それでいて息子が無理しないような環境で虫歯予防をしていきたいと思います。